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その他 2022/05/27
不動産の売買取引では諸々の諸費用が掛かってきますが、その中でメインになるのは不動産業者に支払う仲介手数料です。
削れる出費はできるだけ削りたいのが当然ですから、手数料の相場が分かれば値段交渉などもできそうですね。
この回では不動産取引における仲介手数料の相場や値引きの可否などについてお伝えしていきますので、ぜひ参考になさってください。
仲介手数料の相場について調べていくと、どうやらこれと決まったものはないようです。
というのも、不動産は一つとして同じものが無く、築年数の古さはもちろん、立地や周辺の環境もそれぞれ違います。
売りやすい物件ならば手数料が安く、難しい事案なら高くなるといったシステムが似合いそうな気もしますが、案件ごとにそのような値段設定をするのは効率が悪い上に、不動産業者にとって特にメリットもないのでしょう。
ただし、仲介手数料については売り主が不当に高額の請求を受けることがないように法律で上限が定められています。
必ずではありませんが、多くの不動産業者がこの上限いっぱいの手数料を請求するので、あえて言うならば法律上の上限が仲介手数料の相場と言えるかもしれません。
手数料上限の正確な計算は少し複雑で一律にいくら、と決まっているわけではありません。
次の項では手数料上限の計算方法を見ていきます。
不動産取引の仲介手数料上限は売買金額を3つの区分に分けて、それぞれに対応する利率を掛けて算出し、最後に合算します。
単純に売買代金の〇%といかない所がややこしいですが、以下で確認しましょう。
A 売買金額のうち200万円以下の区分 5%
B 売買金額のうち200万円超400万円以下の区分 4%
C 売買金額のうち400万円を超える区分 3%
例えば物件が一千万円で売れたとすると、そのうちのAの区分としては200万円×5%=10万円、Bの区分として200万円×4%=8万円、Cの区分として600万円×3%=18万円です。
A、B、Cの合計で36万円となり、これに消費税を加えた額が手数料の上限となります。
以上が手数料にかかる正式な計算方法ですが、物件価格が400万円を超える場合は簡易計算も可能です。
簡易計算式は「売買代金×3%+6万円」で、これに消費税を加えればOKです。
一応、どんなケースでも計算ができるように正式な計算方法を知っておくと安心ですね。
仲介手数料については上限が法律で決まっているわけですが、これを聞いてピンときた方もいるかもしれません。
上限の範囲内であれば、実際の手数料額は交渉で決められるのでは?と思った方は鋭いです。
交渉を禁ずるようなルールはありませんので、上限の範囲内であれば一般のビジネス取引と同じく自由交渉が可能です。
ただし、元々上限いっぱいの請求をしたいと考えている不動産業者に対して無理に値下げ交渉を求めるのは得策ではありません。
不動産業者にとって仲介手数料を減らされることは死活問題につながるので、無理に値下げ要求をすると以下のような弊害が出る恐れがあります。
不動産業者は他にも同時進行で複数のお客さんに対応しているので、儲けが少ない案件はできるだけ後回しにして、実入りの良さそうな案件を優先したいと考えるでしょう。
また担当者個人としても、心情的にがっつりと値下げ要求を突きつけるお客を優先したいとは考えないでしょうから、対応を後回しにされてしまう恐れがあります。
物件販売に係る宣伝広告の実務は全て不動産業者が担ってくれますが、手数料報酬は宣伝広告料込みの値段となっています。
つまり宣伝にかかる経費は業者が一旦立て替えたうえで、後で手数料から充当されるようになっているのです。
宣伝にかけられる経費が小さくなれば積極的な広告がされない可能性があり、結果として不動産売却の成功が遠のくリスクが出てきます。
上記のような理由から、手数料報酬の値下げ交渉は基本的にはお勧めできません。
ただし状況によって、また交渉の仕方によってはリスクを避けた値下げ交渉が可能なこともあります。
次の項で見てみましょう。
まず積極的に値下げ交渉をしても問題になりにくいのが、市場で人気があり、かつ高額の物件を扱う場合です。
それほど宣伝に手間をかけなくても人気物件であれば引く手あまたですので、苦労せずに買い手を見つけることができます。
その物件が高額であれば最初から手数料のうまみが強く、また報酬獲得もほぼ確実ですので、多少の値引きには応じてくれるかもしれません。
人気物件でうま味が強い場合、無下に断ると顧客は別の不動産業者に話を持っていってしまう恐れもあるので、この場合は依頼する側が有利な立場であることが影響します。
人気物件でない場合は依頼者側有利というわけにはいかないので、やはり積極的な値下げ交渉は基本的に控えるべきですが、例えば高額物件でなくても、事前の予想に反してすぐに買い手がついたような場合は事後交渉として伺いを立てるくらいであればトラブルにはならないでしょう。
「思ったよりすぐ買い手が付いたし、手数料の方少し負けられないかな?」と優しく聞いてみましょう。
仲介契約を結んだ後ですからもちろん断られる可能性もありますが、買い手が見つかった後の事後交渉ですので、売却の成功率には影響しませんから気軽に相談できます。
ところで、数は多くありませんが、中には不動産業者自らが仲介手数料無料をうたって集客することもあります。
手数料は不動産業者の利益を生み出す生命線ですから、通常は考えられないことです。
この手数料無料のカラクリについては利用者側も仕組みをよく承知しておかないと、不利益を被る危険があるので注意しましょう。
手数料無料をうたう業者はまず間違いなく「両手仲介」をしています。
両手仲介とは、売り手と買い手の両方を仲介することで、双方から手数料を取り、二倍の儲けを狙うものです。
成功すれば二倍の儲けとなりますが、片方の手数料を無料にすることでそちらの集客効果を抜群に上げることができます。
目先の儲けは半分減らしても、集客数を増やすことで回転を良くして結果的に多くの儲けを狙うということです。
売り手側の手数料を無料にする場合は買い手側からのみ手数料報酬を頂戴しますし、逆になることもあります。
どちらにしても無料になった方はお得に思えますが、ここで注意が必要なのが「囲い込み」です。
囲い込みとは、不当に他社からの客を寄せ付けず、自社だけで売り手と買い手のマッチングを強行しようとする行為です。
例えば手数料無料につられてA社に仲介を申し込んだ売り主がいたとします。
本来であれば業界専用のシステム(レインズ)に物件情報を登録し広く全国に情報を露出させますから、他の不動産業者もこれをみて買い手探しを始めます。
しかし他社が先に買い手を見つけてしまうと両手仲介ができませんから、A社はなんとかこれを阻止しようとします。
「すでに申し込みが入っている」「交渉がまとまりそうな客がいる」などの理由を付けて他社からの客を寄せ付けず、自社で買い手探しを続けようとするのです。
この囲い込みをされると、仲介の依頼者は買い手が見つかるまでに時間がかかってしまい迅速な現金化ができなくなる恐れが出てきます。
またもしかしたらA社が自力で見つけてくるお客さんよりも、他社経由で紹介されるお客さんの方が高額で買ってくれていた可能性もあるので、より高値で売却したいという希望が実現できない可能性も出てきます。
手数料無料をうたう業者を利用する場合、こうした弊害が出る可能性も考えて依頼を検討しなければなりません。
本章では不動産取引における仲介手数料の相場について、値引きの可否などと共に見てきました。
いわゆる相場というものは存在しないながらも、実質的には法律上決められた上限が多くのケースで相場として機能しているのが実情です。
値下げ交渉は不可能ではないものの、かえって依頼者側に不利になる恐れがあるので基本的にはお勧めしません。
手数料無料をうたう事業者も存在しますが、囲い込みに合う可能性も考えた上で利用の可否を検討するようにしてください。
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