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その他 2022/05/27
家を売却することになったら、手元に入るお金に目が行きがちですが、大きなお金が動く分、さまざまな税金がかかります。
サラリーマンなどの給与所得者は普段接することがない確定申告もしなければなりません。このように聞くと、家を売却したらものすごい金額の税金がかかるのでは?と心配になる人も多いでしょう。
そこで今回は、家を売るときに発生する税金の種類とその計算方法について、控除できるケースも含めて解説したいと思います。
家を売ったときに課せられるメインの税金が所得税。家を売って得たお金が譲渡所得とみなされることで、所得税が発生します。
所得税がかかるのは、何らかの形で収益を得て、それが所得と位置づけられたとき。会社勤めの人は毎月支払われる給料が、自営業者の人は事業所得が、不動産経営者は家賃収入が所得とみなされます。
福引などの賞金品、競馬あるいは競輪の払戻金、生命保険の一時金など、一時的に得られた所得も同様です。
家を売ったときに発生した利益は譲渡所得と呼ばれます。2,000万円で購入した家を2,500万円で売却した場合、差額の500万円が利益とみなされ、所得税の対象となります。
譲渡所得の計算方法は、おおまかには以下の通りです。
【家を売った金額−(取得費+譲渡費用)=譲渡所得】
ここで気になるのが取得費と譲渡費用の内容でしょう。
取得費とは、仲介手数料などを含めた購入金額から家の減価償却費を差し引いた金額です(減価償却費の計算方法は次に詳しく解説します)。譲渡費用とは、家を売るまでにかかった費用のことで、購入時と売却時の両方が該当します。
購入した時の諸費用には、不動産会社への仲介手数料や土地の測量費など、売却した時の諸費用には、仲介手数料や印紙税のほか、場合によっては立退料や解体費用が含まれます。
【2,000万円−(600万円+120万円)=1280万円】これが譲渡所得と見なされて課税対象となります。
取得費を計算するためには、購入金額から家の減価償却費を差し引く形になります。
新築で家を建てて、10年のあいだ住み続けたあと売りに出す際、10年の劣化分を減価償却費として差し引いてから譲渡所得を算出します。
減価償却費を含めることで、経年劣化によって価値が下落した分が取得費に反映されるため、譲渡所得の金額が変わってきます。
家を売る場合、減価償却費を反映させることが不可欠ですが、土地については経年劣化という考え方がないため、その必要はありません。
減価償却費を算出するためには、その家の耐用年数を分割するという方法が一般的です。基本的な計算方法は、以下の通りです。
【家の取得価格×0.9 ×償却率×経過年数=減価償却費】
償却率とは、耐用年数により決められた割合のことで、建物の構造により比率が異なります。一般の住宅に多い木造は0.031、軽量鉄骨は0.025、鉄筋コンクリート造は0.015と決まっています。
【2,000万円×0.9×0.031×10年=558万円】
家を10年後に売った場合の減価償却費を差し引いた取得費を求めると、このような計算になります。
家を売却することになったら、所得税のほかに契約の過程で各種税金の支払いが発生します。
譲渡所得を算出するさいに差し引く譲渡費用のひとつが印紙税。家を売るときに売買契約書を取り交わすことになりますが、そのときに収入印紙の添付を通じて納税します。
印紙税は、売買金額により課税額が変わり、100万円~500万円の場合は2,000円、500万円~1千万円の場合は1万円、1千万円~5千万円の場合は2万円と決められています。
抵当権とは、住宅ローンなどの融資を受けるとき、金融機関が家や土地を担保にとれる権利のこと。家を売る時点で住宅ローンの返済が終わっていないと、抵当権が設定された状態のままになってしまいます。
家を売却するためには、住宅ローンの残高を支払ったうえで、抵当権を抹消する登記手続きが必要となります。そのときにかかる税金が登録免許税と呼ばれるもので、土地と家に対してそれぞれ2,000円と決まっています。
また、所有権を移転するための登録免許税は、土地については固定資産評価額の1,000分の15、家については固定資産評価額の1,000分の3と定められています。
所得税とは対照的に消費税は買ったものに対して課税されます。そのため一般の人が家を売っても消費税を支払う必要はありませんが、課税事業者は対象外です。
店舗の物件を売りに出すなど、法人が建物を含めた不動産を売却する場合、消費税の支払い義務が生じます。
また、法人が持っている投資物件の前々年の課税売上高が1,000万円以上であるときも同様です。これらはすべて、法人の事業所得すなわち事業のための収益と見なされるからです。
自宅を売却するとき、個人が売主であるときは消費税が課せられないと言われることが多々あります。ただし正確には、売主が年間の課税売上高が1,000万円を超える課税事業者である場合、消費税を支払う義務が発生します。
会社員などの給与所得者が、不動産経営により家賃収入を得ている場合についても、家賃収入の繰り返し利益が1,000万円を超えたら課税されます。
ここまで課税対象となる税金の種類を見てきましたが、一定の条件を満たした場合に限り、特別控除を受けられるケースがあります。
自分が住んでいた自宅を売りに出す場合、それを所有している期間にかかわらず、譲渡所得の金額が3,000万円までなら控除が受けられます。
つまり、譲渡所得の合計が3,000万円を超えていないのであれば、特別控除の適用内となるため税金がかからないのです。
一般的に、自宅の売却により得られる利益が3,000万円を超えることは滅多にありませんので、ほとんどの人は特別控除の適用内となるはずです。
所有期間が10年以上ある家を売りに出す場合、譲渡所得金額には軽減税率が適用されます。譲渡所得の金額が3,000万円以上の場合は、先の特別控除を受けられないため、軽減税率に関する特例を利用するのがいいかもしれませんね。
もうひとつの特例である買換え特例とは、自宅を買い替える人を対象に、譲渡所得にかかる税金を買い替えが完了するまで猶予してもらえるというもの。
税金を支払うタイミングが先送りされるのみで、課税額が少なくなるわけではありませんが、買い替え資金に余裕がない人はこちらを利用してみてもいいと思います。
家を売却しようと思うものの、支払う必要がある税金の種類が分からない…という人も多いでしょう。
家の売買で動くお金が大きい分、どれくらいの金額が課税されるのか、不安になることもあると思います。
前もって税金の種類や計算方法を把握しておけば、資金計画等が立てやすくなりますので、家の売買がすすめやすくなると思いますよ。
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