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その他 2022/06/07
古い家にはアスベスト(石綿)が使われていることがあります。
アスベスト含有建材が老朽化してしたり、解体やリフォームしたりするときにアスベストが飛散してしまったら…やはり健康被害が心配になってしまいます。
この記事では、古い家でアスベストが使われやすい場所、使われているかどうかの見分け方、調査方法などを紹介していきます。
2006年以前に建てられた住宅では、もしかするとアスベスト含有建材が使われているかもしれません。
この機会に、ぜひ一度確認してみましょう。
アスベストというと、ビルやマンションのボイラー室、体育館の屋根、駐車場の壁や屋根など、大きな建築物に使われているイメージがあります。
しかし、戸建て住宅といった個人の家でも、アスベスト含有建材が使われていることが少なくありません。
「古い家」とは具体的に何年前を指すのか、アスベスト規制の歴史とともに見ていきましょう。
アスベストは、次のように段階的に規制されてきました。
1975年(昭和50年)
「特定化学物質等障害予防規則」が改正され、アスベストの含有量が、その建材の重量の5%を超える場合、吹き付けが禁止されることになりました。
1986年(昭和61年)
IOL(International Labour Organization)条約が採択され、クリソタイル(白石綿)は管理使用の対象に、クロシドライト(青石綿)は原則使用禁止となりましたが、日本ではまだ使用されていたと言われています。
1995年(平成7年)
「労働安全衛生法」「特定化学物質等障害予防規則」が改正されました。クロシドライトとアモサイト(茶石綿)が、使用のほか製造や輸入、譲渡なども含めて全面的に禁止となりました。
ただし、アスベスト含有量が建材の重量の1%未満であれば、吹き付けおよびクリソタイルの使用は認められていました。
2004年(平成16年)
「労働安全衛生法」の改正により、すべてのアスベスト製品の使用、製造、輸入、譲渡などが禁止となりました。
ただし、代替できないものや、アスベスト含有量が重量の1%未満のクリソタイルは使用可能でした。
2006年(平成18年)
「労働安全衛生法」が改正され、アスベスト含有量が重量の0.1%を超えるものは使用、製造、輸入、譲渡、提供が禁止となりました。
このことから、2006年以降に建てられた家であれば、アスベスト含有建材が使われていることはほぼないと言えます。
しかし、それ以前に建てられた家では、アスベスト含有建材が使われている可能性があります。
古い家、具体的には1970年代〜1990年代頃のアスベスト全盛時代に建てられた家では、アスベストの含有量や、アスベスト含有建材の使用量が多いことが考えられます。
では、実際に家のどの部分にアスベストが使われていることが多いのでしょうか?
家の中で使われやすい部分として、「屋根材」「天井材」「壁材」「間仕切り材」「床材」などが挙げられます。
そのほか、内装材や断熱材、耐火材としてアスベストが使われているケースも少なくありません。
屋根、天井、壁、床、そしてお風呂場、台所などで使われていることが考えられます。
少し前の資料ですが、国土交通省が公開している「目で見るアスベスト建材(第2版)」では、イラストや写真も交えながら、どのような場所に使われているのか、どんなアスベスト建材があるのかなどを紹介しています。
アスベストは、大きく「アスベスト含有成形板」「吹き付けアスベスト」「アスベスト保温材(耐火被覆材・断熱材)」などに分類されます。
このうち、2006年以前に建てられた住宅には「アスベスト含有成形板」が使われている可能性があります。
しかし、一般的には木造の戸建て住宅に吹き付けアスベストや、アスベスト保温材などが使われるケースは少ないと言われています。
一方で、アパートや長屋といった集合住宅、鉄骨造や準耐火建築物では、使われている可能性が高いとされています。
アスベストは非常に細かい繊維です。
私たちの髪の毛の何分の1程度と言われています。
つまり、肉眼で確認するのがとても難しい物質というわけです。
例えば、地下駐車場や体育館の天井、ボイラー室などのように、吹き付けられていれば分かりやすいのですが、家に使われている場合、吹き付けはほぼありません。
建築部材に混ぜ込む形で使われていることがほとんどです。
繊維束を形成している、天然の鉱物繊維のため均一性がない、先端が尖っている、耐火性に優れているといった特徴はありますが、素人が見分けるには難しい部分があります。
また、アスベストと考えられる部分をサンプルとして採取し、指で転がしても変化しない(崩れたりせず繊維のまま)、お酢をかけるとジェル状に変化する、といった見分け方もあるようです。
その他、経年劣化によって表面が綿状になっていたり、羽毛立っていたりすることもあります。
しかし、専門の業者であっても見落としてしまうことがあると言われているほどなので、やはり素人が目で見て判断するのは難しいと言えるでしょう。
自分の家にアスベストが使われているかどうかは、目で見分けるのではなく、次のような方法で調べることをおすすめします。
家を建てたときに依頼した(施工してくれた)工務店、ハウスメーカー、建設業者、もしくは、分譲住宅を購入した場合は宅建業者などに問い合わせて、設計図書を確認する方法があります。
設計図書とは、家を建築する際に必要な図面や仕様書といった書類の総称です。設計図や仕様書に、アスベストを使用しているといった記録が残っていたり、作業を行った年月から、アスベストが使われている可能性を探ったりすることもできます。
また、図面や仕様書などに、家を建てるときに使用した建築部材の商品名が記載されていれば、その商品名からアスベスト含有建材かどうかを確認することもできます。
確認は、国土交通省・経済産業省「石綿(アスベスト)含有建材データベース」 から行えます。
アスベストが含まれているかどうか、空気中の濃度はどれくらいか、といったことを調査してくれる専門の技術者もいます。
たとえば、「建築物石綿含有建材調査者制度」があります。
これは、アスベストに関する専門的な知識や技術を習得し、使用実態を的確に把握できる人材の育成を目的として、平成25年7月に創設された制度です。
登録機関になるための要件を満たした機関が実施する講習を修了することで、「建築物石綿含有建材調査者」の資格が与えられます。国の資格ではありませんが、将来的には国庫補助の要件となることも検討されているようです。
依頼するには、地方公共団体の担当部署に相談したり、建築設計事務所、設備業者、工務店などに相談したりすると良いでしょう。
もしくは、「アスベスト 調査会社」でネット検索すれば、簡単に探すことができます。
その場合、費用や調査方法などが異なりますので、よく確認し、複数の調査会社を比較して検討しましょう。
なお、地方公共団体の中には、アスベストの調査費に対して補助金制度を設けているケースがあります。
調査会社に委託する前に、利用できる補助金制度がないか確認しておくことをおすすめします。
アスベストは非常に細かい繊維のため、鼻や口から簡単に体内に侵入してしまいます。
肺に蓄積されていき、石綿肺(じん肺の一種)、胸膜プラーク、肺がん、悪性中皮腫といった病気を招く可能性が高くなります。
しかし、アスベストが原因の病気は、アスベストを吸い込んでから長い年月が経過したのち、発症することが知られています。
例えば、悪性中皮腫では平均して35年前後といったように、15〜40年といった潜伏期間があると言われています。
また、どの程度の量のアスベストを、どのくらいの期間ばく露(アスベストに晒されること)したときに、悪性中皮腫になるかといったことは分かっていません。
短期間で低濃度のアスベストにばく露したケースで、発がんリスクがどの程度になるかといったことは不明な点がまだまだ多くあります。
アスベストは、健康被害リスクを度外視した場合、断熱性、耐火性、防音性、防カビ性、保温・保冷性などあらゆる面に優れた建材です。
そのため、数多くの建築物の部材として重宝されてきました。
しかし、現在では健康被害リスクが高いことから、原則使用禁止となっています。
また、アスベスト含有建材が使われている家が、万が一、地震や洪水といった自然災害で半壊・倒壊してしまったら、空気中にアスベストが飛散することになります。
そうなれば、自分や家族はもちろん、近所の人たちにもアスベストにばく露するリスクが生じてしまいます。
肉眼でとらえることは難しく、健康被害が出るまでの潜伏期間も長いことから「大丈夫」と思ってしまう人が多いようですが、2006年以前に建てられた家の場合、アスベストが使われている「可能性」はゼロではありません。
気になる人は、この機会にぜひ、自分の家にアスベストが使われていないか調べてみてはいかがでしょうか?
なお、アスベストは、その発じん性の高さによってレベル1〜3まで分類されています。
もしアスベストが使われていた場合、発じん性のレベルが1や2だとすると、撤去するにはアスベストに関する知識や技術を持つ専門業者に委託することになります。
素人が解体や撤去をすることは、危険なのでやめましょう。
そのほか、アスベストについて詳しくは、国土交通省がアスベスト調査の推進を目的に作成した対策ページに、Q&A形式で掲載されています。
自分の家にアスベストが使われているかどうか不安な人は、ぜひチェックしてみましょう。