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その他 2022/05/25
家族が増えて手狭になった、転勤に伴い引っ越ししなければならなくなったなどの理由で住み替えを検討するとき、それまで住んでいた自宅をどうするか考えなければなりません。
大きく、売るか賃貸に出すかという選択を迫られるので、新居の調達と並行してこちらの問題にも向き合う必要があります。
本章では自宅の買い替え、住み替えの際に旧自宅を売却する方が良いか、それとも賃貸に出すのが良いか考えていきます。
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戸建てであってもマンションであっても、基本的にはその地に長く住むことを前提に購入するものですから、いざ引っ越しが必要になると自宅の処遇をどうするのか悩むことになります。
それぞれ抱えている事情は異なるでしょうし、所有する自宅についてもマンションや戸建てなど種別の違い、築年数や立地環境などの違いもありますから、単純に売却するのが良い、賃貸が良いと断定することはできません。
抱えている事情が違う以上、それぞれのオーナーさんが自らの判断で旧自宅の処遇を決定しなければいけませんが、何も判断材料がなければその判断もできませんよね。
売却するにしても賃貸に出すにしても、それぞれメリットやデメリットが考えられるので、検討する際に比較できるように以下で見ていきます。
これらを比較検討して、自分の場合はどちらが有利そうか考えてみてください。
まずは旧自宅を売却する場合のメリット見ていきます。
住み替えを売り先行で進めるか、買い先行で進めるかにもよりますが、売り先行で進める場合は旧自宅を売却してから新居の購入に進むので、旧自宅を売却して得られたまとまった資金を新居の購入資金にあてることができます。
もちろん必ず新居の購入費用に充てなければならないわけではなく、新しい家具を新調したり、子どもが生まれたのであれば子育て資金に回す、あるいは借金の返済に充てるなど自由な使途で活用できます。
不動産を譲渡して得られた正味の儲け(不動産譲渡所得)に対しては譲渡所得税が課税されます。
不動産の売却代金は金額が大きいので税金も大きくなりがちですが、一定の要件を満たす自宅を売却した場合、居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除施策を利用することができます。
この特例は不動産の譲渡所得から特別に3000万円を控除できるので、譲渡所得が3000万円以下であれば税金がかからないことになります。
不動産の譲渡所得は買い手から頂く売却代金から必要経費を控除したものですから、その時点ですでに売却代金よりはだいぶ金額が小さくなっているはずですが、そこからさらに3000万円を控除できるので、多くのケースでは税金をかけずに売却が可能です。
仮に不動産譲渡所得が3000万円を超えていたとしても、特例適用により小さくなった額に課税されるので負担を大きく軽減することができます。
不動産のうち建物については、売るのが遅くなればなるほど価値を下げるため、できるだけ早く売るのが鉄則とされています。
賃貸に出す場合、その期間は価値の減少が進むので将来売却するとしてもその分安くなってしまいます。
逆に売却することのデメリットは以下が考えられます。
売却を仲介してくれた不動産業者には一定の手数料の支払いが必要で、これには結構な金額が必要です。
多くのケースで数十万円からケースによっては数百万円程度の出費が必要となるでしょう。
自分で買い手を見つけることも不可能ではありませんが、親戚や友人などに伝手が無ければ一般市場の買い手を見つけるのは難しいでしょう。
前項で見た不動産譲渡所得の3000万円の特例は一定の要件を満たさないと利用できません。
例えば居住の用に供さなくなってから3年が経過する年の12月31日までに売ることなどの要件があり、要件を満たさないと特例は利用できません。
その場合不動産譲渡所得にそのまま課税されることになり、かなりの税負担が生じます。
売却処分した場合、将来何かに利用したいと思ってもそれができません。
買い戻すということも検討できますが、多くの場合実現できる期待は薄いでしょう。
では次に旧自宅を賃貸に出して活用する場合のメリットを見てみます。
うまく借り手が付けば、安定した家賃収入としてインカムゲインを手にすることができます。
サラリーマンとしての給料に上乗せして、よりリッチな生活を楽しむこともできますし、自営業などで自由な調整が利く仕事であれば少し仕事をセーブして生活に余裕を持たせ、家族との時間を楽しむこともできるでしょう。
賃貸運営では家賃収入を得られる代わりに様々な経費が発生します。
建物の補修や維持管理にかかる費用、管理業務を業者に委託する場合の委託料など色々な項目で出費が必要になるので、家賃収入を圧迫することになります。
反面、節税作用のある損益通算というルールがあり、これを利用することで大きなうま味を享受できます。
サラリーマンの場合、会社からもらうお給料は給与所得として所得税が課税されています。
不動産を賃貸に出して得られる家賃収入は不動産所得となりますが、不動産所得で発生した赤字は給与所得の黒字と損益通算することができます。
これが何を意味するのかというと、不動産所得の赤字分、給与所得の黒字を相殺して減らしてくれるので、給与所得にかかる所得税を減らすことができるのです。
確定申告によって損益通算をすると、納め過ぎた税金を還付してもらうことができるので、大きな利点になります。
売却してしまうともう自分の手元を離れるので不可能ですが、所有権を手放していなければ、将来自分で使ったり、何かに利活用を考えた時にその不動産を利用できます。
それでは賃貸に出すことのデメリット面も見てみましょう。
賃貸経営には空室リスクが付きもので、しっかりと市場調査をしないと思うように借り手が付かず、予定した家賃収入が0になるということも考えられます。
さらに、その間にも不動産としての価値は減少していくので、将来売却するとしても高く売れにくくなります。
賃貸に出すことは対借り主との関係で大家としての責任が生じるということです。
物件に不具合があれば対応しなければなりませんし、苦情が出ればこれも対応が求められます。
管理会社を付ければその手間は大分減りますが、法的な責任については最終的に大家に帰属するので、完全な他人任せというわけにはいきません。
基本的に、我が国の法制度上は立場が弱くなりやすい借り主の方を優先して保護する姿勢となっており、大家都合による契約の解除がしにくいように作られています。
特別な事情がない限り、契約満了時にも大家都合による更新拒否ができない仕組みになっているので、この点は留意が必要です。
どうしても将来の一定時期には物件を返してもらいたいのであれば、定期賃貸借契約という種別の契約形態で取引に臨む必要があります。
例えば転勤で引っ越しが必要になったが、数年後にはかならず帰ってくることが決まっている場合、その間だけ賃貸にだすという使い方ができます。
こうした需要は一定数あり、これに訴求する「リロケーションサービス」を提供する不動産業者が増えています。
リロケーションが得意な不動産業者は、一定期間だけ物件を借りたい需要層の顧客を持っているので、効果的に借り手を見つけることができます。
決まった期間だけ賃貸に出したいという希望がある場合はぜひ検討してみてください。
ここでは賃貸を積極的に検討できるケースを考えてみましょう。
まずは前項でも出たように、転勤等で一定期間離れるけれど、将来また戻ってくることが確実なケースです。
他には相続で親の居住用不動産を承継したけれど、5年後の定年まではそこに住めないという場合、住めない期間だけ貸しに出すことが考えられます。
離婚に伴い元の配偶者が引き続き住みたい希望があれば、元配偶者に貸し出すというケースも考えられます。
この場合は元配偶者に売却することもできますが、資金的な課題があったり、子どもが転校しなくても済むように卒業するまでの間だけ住みたいという希望があるかもしれません。
他にも色々考えられますが、以上のような事案で特段の支障が無いようであれば賃貸を検討してみては如何でしょうか。
賃貸は家賃収入を得られるメリットがあるとはいえ、「管理が面倒」「借り手との付き合いが煩わしい」「売ってスッキリしたい」と考える人も多いと思います。
とにかく面倒なことを考えたくないのであれば、売ってしまえば全ての責任から解放され、その後のリスクについても考える必要がなくなりますから、売却する方が楽であり安全であると言えます。
賃貸にメリットはあるとしても、それ以上に面倒さを感じるならば売ってスッキリした方が心理的にも負担がありません。
本章では住み替え事案において旧自宅をどうするのか、売却と賃貸のメリットやデメリットを比べて見てきました。
どちらが良いかというのは簡単に判断するのは難しく、おかれた状況や不動産の種類、状態によっても変わってきます。
一つ言えるのは、将来また自分で使う機会があると分かっているのであれば、その間だけ貸し出すリロケーションを検討しても良いということです。
それ以外でも、賃貸経営に興味があれば積極的に賃貸を検討しても良いですが、面倒が先に出る人は売却した方が、あとくされが無くスッキリするでしょう。
決断は一筋縄にはいきませんが、あなたにとって最善の選択ができることを祈ります。
最終的にはオーナーさんの判断となるので、自分の場合は賃貸と売却どちらに利点を感じるのか吟味して検討を進めてください。
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